事業系ごみと家庭ごみの違いとは?正しい処分方法を解説

       

公開日:2023/10/24  最終更新日:2024/04/04

同じようなごみであっても、事業活動によって生じたごみと一般の家庭から出されるごみは区別されているのをご存じですか。事業系ごみを家庭ごみと一緒に出すことは禁止されており、間違った処分をすると不法投棄とみなされるおそれもあるため注意が必要です。

今回は事業系ごみと家庭ごみとは何か、両者の違いを解説します。分別方法や収集方法、費用面などの観点から違いを詳しく見ていきましょう。正しい処分方法も紹介します。

事業系ごみと家庭ごみの違い

事業系ごみとは、営利目的であるかにかかわらず、事業や経済活動によって生じたごみのことです。カフェやレストランなどの飲食店、コンビニやスーパーなどの店舗、ホテル、レジャー施設、会社のオフィス、工場、学校、官公庁、病院、社会福祉施設などで出たごみが該当します。

一方で家庭ごみは、一般家庭から出るごみです。主に住民税などを財源として、ごみの回収や処分が行われています。両者の違いを4つの観点から見ていきましょう。

家庭ゴミ 事業ゴミ
分別 ・各自治体が定めたルールへ従う ・処理方法は排出者が決められる
・法律に基づき、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分別する必要がある
収集 ・収集所にゴミを出すことで、各自治体(市町村)が回収をする ・事業所の敷地内で事業ゴミは回収業者へ引き渡す
・処理施設や処分業者へ自分で持ち込む
処分 ・各自治体(市区町村)の清掃工場で焼却、粉砕される ・事業系一般廃棄物:各自治体(市区町村)の処理施設で焼却される
・産業廃棄物:民間の処理施設で処分される
費用 ・基本的に料金は発生しない(粗大ごみを除く) ・運搬や処分費用が発生する
ゴミ排出者の
責任
・自治体のルールを守る必要がある ・ゴミ排出者が適切に処理する必要がある
・不適切処理が合った場合、排出者が責任を負うことになる

分別方法

事業系ごみは「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」に大きく分けられます。事業活動にともなって生じた廃棄物のなかで、廃棄物処理法によって決められた20種類のごみは産業廃棄物です。燃え殻や汚泥、廃油、廃酸、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、がれき類、ばいじんなどが該当し、これら以外にも多くの種類があります。

産業廃棄物以外のごみは一般廃棄物とされ、燃えるごみ・粗大ごみ・資源化できる古紙類などに分別するのが基本です。また、有害物質を含むような工場や、感染症の危険がある医療機関などから出るごみは、特別な管理方法が決められており、事業者が責任をもって行う必要があります。

一方で家庭ごみの分別は、各自治体によって決められたルールに従います。燃えるごみ・燃えないごみ・プラスチックごみ・ビン・缶・ペットボトル・粗大ごみなど、分別方法や項目は各自治体によって異なります。

家庭ごみにおいては資源ごみとされるものが、事業系ごみでは産業廃棄物として扱われるなど、同様のごみでも分類の仕方に違いがあります。

収集方法

ごみの集め方は、種類によって少し変わってきます。事業系一般廃棄物の場合、市区町村が許可した企業などに収集を頼むか、市区町村が指定する処理施設などへ自ら持ち込む方法があります。処理施設に自ら持ち込む際は、事前に連絡して許可をとるのが基本であり、施設でごみの重量を計測して決められた料金を支払います。

産業廃棄物の場合、都道府県が許可した企業などに収集を頼むか、処分業者へ自ら搬入します。収集をお願いする際は専門の業者を選び、ごみとして出す産業廃棄物の品目の許可を得ているかも確認しましょう。

一方で家庭ごみは、自治体が定める曜日や時間、場所にごみを出しておくことで、各自治体が回収します。ごみの種類によって曜日が決められているのが一般的であり、有料の指定ごみ袋を使用する場合もあれば、自治体によってはレジ袋や市販のごみ袋を使用することも可能です。家庭ごみを自治体の処理施設へ持ち込めるケースもあります。

処分する場所

事業系一般廃棄物は市区町村指定の処理施設や焼却場で焼却処分されるのが一般的です。産業廃棄物は許可された民間の企業などに委託され、資源化されたり、処理施設で処分されたりします。

一方で家庭ごみは、市区町村の清掃工場に運ばれ、焼却や粉砕されるのが基本です。自治体によっては、清掃工場ではなくごみ処理場や焼却施設、クリーンセンター、環境美化センターなどの呼ばれ方をするケースもあります。

費用

事業系ごみの運搬や処分には費用がかかります。市区町村指定の処理施設に持ち込むケースや、処理業者に依頼する場合などがありますが、それぞれの自治体や業者によって設定されている料金が異なります。

市区町村指定の処理施設に持ち込む場合、重量に応じて料金が設定されていることが多いです。事業所のある自治体のホームページなどを確認してみましょう。

家庭ごみを捨てる際は有料の指定ごみ袋を使用するケースもありますが、市販のごみ袋やレジ袋で出してよいケースもあります。自治体によって、有料の指定ごみ袋の料金は異なります。

家庭ごみにおける粗大ごみは、品目別に料金が設定されている場合が多いでしょう。引き取りにきてもらう場合と、自治体指定のクリーンセンターなどに持ち込む場合とで料金が変わることもあります。

事業系ごみの正しい処分方法を解説

事業系ごみは細かく分類されており、分別方法が複雑です。事業主の責任において適切に処理することが義務付けられているため、正しい知識をもって対応する必要があります。

産業廃棄物は原則として自治体では処理できないため、企業などへ委託します。都道府県から許可を受けていることを確認したうえで、お願いする企業を選びましょう。

事業系一般廃棄物は、市区町村が指定する処理施設などに自分で持ち込む方法や、企業などに処理をお願いするなどの方法があります。委託業者を選ぶ際には、事業所のある市区町村から許可を受けているかの確認が必要です。

事業系ごみの処理の許可をもっていない違法業者に依頼すると、無意識のうちに違法行為に手を貸すことになりかねません。依頼する際は、見積りを出してもらう前に許可の有無をきちんと確認しましょう。

事業系ごみを正しく処分する必要性とは

事業系ごみには有害物質や汚染物質などが含まれている可能性もあり、適切な方法で処分されなければ地表水や土壌を汚染してしまうおそれがあります。人間の健康だけでなく、生態系などの環境全体に悪影響を与える可能性があることから、正しく処分する必要があるのです。

また、ごみの中には資源化ができるものも含まれています。焼却するものと分別して正しく処分することで資源化の推進も可能です。埋め立てられる廃棄物の量を少なくでき、環境全体を保護することにつながるうえ、埋立地が予定よりも早く満杯になってしまうことを防げるでしょう。

処分を適切に行わないと、排出者である事業者が責任を負うことになります。重大な罰金や法的処罰を受ける可能性もあるため、どの企業にごみの処理を委託するのかはよく検討する必要があります。

事業系ごみを家庭ごみとして出せる?

原則として事業系ごみを家庭ごみの集積所などに出すことは禁止されており、不法投棄とみなされ、罰則の対象になります。近隣の迷惑になり、生活環境にも悪影響を与えるおそれがあります。

たとえ規模が小さくても、事業者として出したごみは家庭ごみと分ける必要があるのです。ルールに従って正しく処分しましょう。

ただし一部の自治体においては、事業系一般廃棄物が少量の場合のみ、家庭ごみと同じごみステーションに出せる制度があります。自治体への事前登録や、指定ごみ袋の購入などのルールが設けられているため、確認してみてください。

まとめ

事業系ごみは、事業や経済活動によって生じたごみであり、一般的に家庭で出されるごみと区別されます。事業系ごみは細かく分類されており、分別方法が複雑なのが特徴です。

両者は収集方法や処分する場所、かかる費用なども異なり、基本的に事業系ごみを家庭ごみとして出すことは禁止されています。ただし一部の自治体では少量の一般廃棄物を家庭ごみの集積所に出せるケースもあるため、自治体のホームページなどを確認してみましょう。

事業系ごみの処理を企業などに依頼する場合は、都道府県や市区町村からきちんと許可を得ているかどうかの確認が必要です。正しく処理してくれる企業などに依頼し、適切に処分しましょう。

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