産業廃棄物とは?種類や処理の流れをわかりやすく解説
公開日:2024/02/15 最終更新日:2023/09/26
産業廃棄物とは、事業活動によって発生する特定の20種類の廃棄物のことを指します。産業廃棄物は、一般廃棄物とは異なる法律や基準に基づいて適正に処理されなければなりません。この記事では、産業廃棄物の定義と種類、処理方法や流れ、処理基準や委託基準などについて、わかりやすく解説していきます。
産業廃棄物の定義と種類
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法律で直接定められた6種類(燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類)と、政令で定められた14種類(紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、金属くず、ガラス及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、動物のふん尿、動物の死体、ばいじん類)の計20種類を指します。
ただし、紙くず、木くず、繊維くずなどは特定の業種から排出された場合に限り産業廃棄物となります。これらの20種類の産業廃棄物は、普通産業廃棄物と特別管理産業廃棄物に分けられます。
普通産業廃棄物は人体や環境に対して比較的低い影響を与えるものであり、紙くず、木くず、金属くずなどが該当します。特別管理産業廃棄物は人体や環境に対して高い影響を与えるものであり、感染性廃棄物、PCB等、廃石綿等などが該当します。
特別管理産業廃棄物は厳格な管理が必要であり、処理基準、保管基準、委託基準などが設けられています。
産業廃棄物の処理方法や流れ
産業廃棄物の処理は、分別・保管、収集・運搬(積替)、中間処理、再生処理・最終処分の4つのステップに分かれます。
分別・保管
排出事業者は産業廃棄物を種類ごとに分別し、収集・運搬業者が回収するまで保管します。
保管時には周囲に囲いを設置し、飛散・流出・悪臭・害虫などを防止する措置を講じます。
収集・運搬(積替)
収集・運搬業者は都道府県から許可を得て、産業廃棄物を処理場やリサイクル施設に運搬します。
運搬時には飛散・流出・悪臭などを防止する措置を講じます。運搬途中で産業廃棄物の積替えが行われる場合もあります。積替えは運搬効率を高めるために行われますが、積替保管専用施設で行われるほか、保管期間や量に制限があります。
中間処理
中間処理業者は産業廃棄物を検査・選別し、焼却・粉砕・溶解・脱水などの処理を行います。
中間処理の目的は、産業廃棄物の量や性状を変化させて、再生処理や最終処分に適した形にすることです。
再生処理・最終処分
中間処理された産業廃棄物は、再生可能なものは原材料や燃料として有効活用されます。
再利用できないものは最終処分の対象となります。最終処分には埋立や海洋投入などの方法がありますが、特別管理産業廃棄物の海洋投入は禁止されています。
「処理基準」「保管基準」「委託基準」とは?
産業廃棄物の処理においては、環境保護と人体への安全性確保が最優先事項です。
そのために、特別管理産業廃棄物に対して、処理基準、保管基準、委託基準という3つの基準が設けられています。これらの基準は、産業廃棄物の発生から最終処分までの各段階で、適切な対策を講じるための指針として機能しています。
処理基準
特別管理産業廃棄物が保管、収集運搬、中間処理、再生、最終処分される際に、それらのプロセスで遵守すべき基準を示しています。
これには、廃棄物の種類や性質に応じた処理方法、安全な設備の使用、排出事業者の責務などが含まれます。処理基準を守ることは、廃棄物が適切に処理され、環境や人の健康に悪影響を及ぼさないようにするために不可欠です。
保管基準
特別管理産業廃棄物を一時的に保管する場所や方法に関する基準です。
これには、廃棄物の分別、ラベリング、適切なコンテナの使用、漏洩の防止策などが含まれます。適切な保管は、廃棄物が漏洩や汚染を引き起こさないようにするために重要です。
委託基準
特別管理産業廃棄物の収集運搬や処分を他の業者に委託する場合に関連します。
委託業者は、特別な許可や手順に従って業務を遂行しなければなりません。これにより、委託業者が廃棄物を適切に取り扱い、安全に処理することが確保されます。
これらの基準を守らない場合、排出事業者や収集運搬業者、処分業者は罰則を受ける可能性があるため、非常に重要です。
産業廃棄物の処理に関わる事業者は、環境への配慮と安全性を最優先に考え、これらの基準を厳守することが求められています。それにより、持続可能な廃棄物管理が実現し、環境への悪影響を最小限に抑えることができます。
まとめ
産業廃棄物とは、事業活動によって発生する特定の20種類の廃棄物のことであり、人体や環境に影響を与える可能性があるため、適正な処理が必要です。産業廃棄物の処理は、分別・保管、収集・運搬、中間処理、再生処理・最終処分の4つのステップに分かれます。特別管理産業廃棄物には、処理基準、保管基準、委託基準という3つの基準が設けられており、これらに違反すると罰則を受けることがあります。産業廃棄物の処理に関わる事業者は、これらの基準を遵守することが重要です。